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2016/11/26
「婦人科におけるがん患者の栄養管理セミナー」開催レポート

2016年11月26日(土)10:30から御茶ノ水駅から徒歩3分のところにある中央大学駿河台記念館で病院勤務の管理栄養士対象のセミナー「婦人科におけるがん患者の栄養管理セミナーを淑徳大学の桑原節子先生の監修で開催しました。
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午前中は国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科科長の加藤友康先生から「婦人科がんの病態と治療が及ぼす消化機能」と題して以下の項目でお話しいただきました。
図・写真を使った子宮頸がん・体がん、卵巣がんについての概要と症状。
部位別がんの死亡数(部位別の死亡率は39歳以下では乳がん・子宮がんの順だが、40歳以上になると大腸がん・肺がんの順。)、罹患数、そして子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんのそれぞれの年代別罹患数および死亡率の過去40年間での推移。
社会の複雑化やストレス、高齢出産、栄養過剰摂取、肥満などがんになる危険因子。
診断方法と手術・放射線治療、抗がん剤を使った治療方法、特に摘出手術については動画を使って詳しく紹介。副作用についても。
最後に抗がん剤、放射線治療による食思不振対策として食欲不振を訴えた患者さんの声により作られた国立がん研究センター中央病院の“築地食”の献立紹介がありました。
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第二講義は午後から同病院の摂食・嚥下障害看護認定看護師の黒澤絵理先生の「がん・摂食・嚥下障害の栄養管理〜治療開始前から最期まで“食べる”を支える〜」でした。内容は以下。
同病院のNST活動として診療科別介入件数、新規介入数の紹介、依頼時内容別件数では嘔気等食欲不振に対する食内容検討、栄養状態低下に対する栄養補給内容検討、退院後の食生活説明の順に多いこと。
がん患者の栄養障害には、腫瘍による栄養状態への影響・消化管障害、治療に伴う副作用・合併症などがある一方でがん患者は食への関心が高くかつ健康な人よりもエネルギー消費が高いこと。嚥下障害など食べることの障害の原因、特に摂食・嚥下障害に影響を与える薬剤についての詳細。
術前、術中・術後、化学療法、放射線療法、終末期、退院後、精神的要因での食欲不振それぞれについての栄養管理を具体的症例を交えながら解説。
最後に「患者の立場に立つ」ことの重要性と患者から教わることもある一方、患者教育の必要性について話されました。
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最後は、国立がん研究センター東病院 栄養管理室長の千歳はるか先生から「がん患者の栄養指導の実際〜食べる自信に繋げる指導〜」をお話しいただきました。
がんによる代謝異常や治療の副作用による食への問題、栄養管理の意義を述べられた後、栄養介入の取り組みを紹介されました。
食べる意欲を高めるための工夫、NSTの役割、介入基準、栄養食事指導、患者さん・家族からの相談内容、栄養指導時に配慮していること(ボディーイメージの変化や経済的な問題に対する配慮など)、栄養評価に並んで精神面でのサポートする栄養食事指導のアプローチ、“食べる“心構えなど。
続いて「吐き気・嘔吐・食欲不振」「倦怠感が強い時」「口内炎・食道炎」「味覚障害」「貧血」などの症状別のアプローチについて、食べ物選びの基本、食べ方の工夫、家族の主婦としての役割の考慮など詳細に説明いただきました。
最後に、サプリメントなど補完代替医療や民間療法をおこないたいという患者への留意事項、さらに「脂肪=悪」と言う考え方など、先生が指導されている柏の葉料理教室でわかった患者が理解しにくいこと指導しにくいことの言及で締めくくられました。
<受講者の声>
<主催者から>
資料が小さくて見づらいものがあったなど厳しいご意見も頂きましたが、今回のテーマでさらに踏み込んだ講義を聞きたいなど今後に期待される声もありました。ご期待に応えられるよう各テーマなどさらに工夫して企画していきたいと思います。


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