ジャパンライムlogo   2016/5/21「がんの栄養管理」セミナーレポート

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2016年5月21日(土)東京文具共和会館で病院勤務の管理栄養士対象に「がんの栄養管理」セミナーを開催しました。
本セミナーの受講者には日本病態栄養学会・日本栄養士会から「がん病態専門管理栄養士 受験・更新2単位」が付与されます。

このセミナーは淑徳大学看護栄養学部の桑原節子教授の企画・監修のもと行われ、当日は座長も務めていただきました。 受講者の方々はとても熱心に講義に耳を傾けられ、配布資料にたくさんのメモを取られている姿が印象的でした。

【第一講義】10:30〜11:40 国立がん研究センター中央病院消化管内科で医長の加藤健先生から「がん病態と栄養代謝」についてお話いただきました。

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最初にALBが減少しているある患者さんが食餌療法を始めたということについての会話から、この患者さんへの選択は正しいのかという問いから始まりました。
続いて、がん治療における栄養慮法の目的、栄養アセスメントとプランニング、化学療法中の栄養障害の見方についてご解説いただきました。先生からは、決して無理をせず、患者さんの治療や病状(ステージ)、状況により、総合的に判断をするようお話があり、所属病院での食事のご紹介などもしていただきました。

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抗がん剤により味覚障害が起こることも少なくないですが、時間の経過と共に改善するため、生命に関わらない副作用として軽視されがちです。
現在、国立がんセンターNSTでは、抗がん剤による味覚障害の検討も行っています。


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【昼食休憩】11:40〜12:30 9割が女性なので量よりも質をという希望どおりの美味しい『升本』のお弁当をお召し上がりいただきました。

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【第二講義】12:30〜14:00 静岡県立静岡がんセンター栄養室室長 稲野利美先生より「がん患者さんの栄養食事指導・各症状別栄養食事の工夫と対応」についてお話いただきました。

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午前の講義を受け、がんの治療法それぞれに異なった対応とがん患者さんの悩みや負担の実態を具体的に解説していただきました。外科的療法の場合、化学療法の場合などの発症障害を予測し、予防的・早期に多方面から対応することが重要であり、食べたい時に食べたいものを食べられるように常備しておくことや「残したではなく食べられた」と感じるように盛り付けを少量にするなどの工夫などが必要とのことです。

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【第三講義】14:15〜15:45 国立がん研究センター中央病院NST専従でがん病態栄養専門管理栄養士の青木律子先生から「がん患者さんのNST介入症例検討」についてお話いただきました。

治療法により食事・栄養面にどんな症状が出てくるのか再確認をし、即生命の危険ではないので見過ごされがちな味覚障害について、様々な要因と症状、味覚障害の検査方法を解説いただきました。味覚異常、食欲不振、開口障害、疼痛、左半回神経麻痺などを含む7つの具体的症例とそれに対するNSTの介入をご紹介いただきました。
受講者の方にはこれらが特に好評だったようです。

<受講者の声>
 ・話は聞きやすくとても分かりやすかったです。また受講したいと思います。
 ・具体的な内容が聞けてよかった。
 ・がん患者栄養管理セミナーを継続してほしいです。
 ・がん専門病院ではないのでつい他の患者さんと同じ管理をしてしまいがちだったが、個別性を把握して管理していくことの重要性を感じました。
 ・現場での実践的な内容を聞くことができて大変有意義でした。

※一方で手元の配布資料にないものがあったとお叱りの声もいただきました。
主催者として今後気を付けていきたいと思います。



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